かき氷の魔法
週末起業の藤井孝一さんが書かれた絵本です。
子供にビジネスの世界を理解させるために書かれた本だと思います。そういう意味で藤井さんの意欲的なチャレンジではないでしょうか。しかし、子供一人で読ませるにはちょっと勇気のいる本です。
お話の内容は、オリジナルのかき氷シロップを作った小学生が、商売をして小遣いを稼ぐというものです。
単に、かき氷を作りました。近所の子供に買ってもらいました。という内容でなく、そこにはお父さんからの出資、労働争議、ライバルの出現など、現実の起業を想定したハプニングが次々と起こる、ちょっとした成功物語です。この辺が、ビジネスマンが書いた大人のための絵本という印象を受けます。
『金持ち父さん貧乏父さん』、『イヌが教えるお金持ちになる知恵』を彷彿させるストーリー展開なので、この手の本が好きな方には気持ち良く受け入れられる本です。
漢字にはルビがふられ、文章は短く、きちんとした絵本の形式になっており、子供が一人で読むことができます。
しかし、初めて読むときには、子供にきちんとした説明のできる大人が必要になると思います。
この経営コンサルタントの書いた絵本は、絵本という観点だけでとらえると、ちょっと物足りない感じで、ある種危険です。話がおそらく現実的過ぎるからでしょうか。
「お父さんが出資してあげるから、出資した額よりも多くして返してくれよ」というお父さん像は、どうなんだろうかとも思います。私の頭が固いのかもしれませんが、子供の世界の中だけで物語が完結できなかったのだろうか。もしくは、父親でない第三者の介入があった方が、子供に与える影響はいい様な気がしました。
そんなこんなで、ビジネスに興味のない親からすれば、ちょっと危険な本ではないでしょうか。こういう感覚でお金や仕事を捉えている親ばかりではないと思いますので。
あきらかに起業家の親が、子供に読んで聞かせることをねらって書かれた本ということで、小学校の図書室にはちょっと、置きにくい本であることは間違いないと思います。(私は、いつかこの本が学校推薦図書になることを願う一人ではありますが...。)
まあ、絵本という観点で読むのではなく、藤井さんの意欲的なチャレンジとして受け入れたいと思います。(でも1300円は高いかな...。)
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