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2007年5月12日 (土)

塚原家の金メダル

025499100000塚原千恵子著 『塚原家の金メダル―息子が父親を超える日』

偉大な父親を持つ子供がなぜ難しいのかというと、挫折感を味わったときに失うエネルギーがとてつもなく大きいからだ。父親に立ち向かっていこうという思いがあるときはいいが、「やっぱりかなわない」と思ったとたんに、エネルギーをなくしてしまう。だから世の中にはうまくいかない「二世」が少なくないのだと思う。

月面宙返りの元祖、3度のオリンピック経験で5つもの金メダルを獲得した偉大な体操選手、塚原光男を父に持つ塚原直也の苦悩の足跡を、自身も体操のオリンピック選手だった母、塚原千恵子がつづっている。
寡黙で実直な塚原直也選手の苦悩の日々が、たんたんと語られていくのだが、文章の中に「母の愛」というものをひしひしと感じずにはいられない。

私は学生時代、体操競技をしていた。その関係で当時、体操大国ニッポンを牽引していた塚原光男選手には、ひとかたならぬ思い入れと尊敬の念を抱いている。
そして、その二世である塚原直也選手に対する期待も大きなものがあった。
塚原直也選手への期待は、私のみならず、多くの日本国民からよせられていたはずである。それはオリンピックが近づけば近づくほど大きく膨らんだはずだ。

塚原光男の快挙を再現する。それがお前の使命だ!

という暗黙のプレッシャーがどれほど彼を苦しめたかは、この本を読まずとも容易に想像できる。

他人の評価に振り回されずに、自分らしく生きていく。

これは成功の条件であろう。
しかし、それを許されず、父親との比較による評価を受け続けた塚原直也選手が、3度のオリンピック出場を果たし、アテネオリンピックでは念願の金メダルを獲得したことは、父親の5個の金メダル獲得に匹敵するものがある。

この本では、父親と比較され苦悩する息子を、塚原直也という個人として評価し、愛し続けている母親の愛情を深く感じることができる。
父親と同じ道を歩かなければ、こんなに苦悩することもなかった。しかし、この困難な道を選択した息子を高く評価し、父親との比較ではなく、本人の努力とその結果を評価し続ける母の愛。
毎日の激しい葛藤の中で、努力を重ね、金メダリストになるという輝かしい結果を出した塚原直也選手に今後も応援のエールを贈らずにはいられない。

母の日に読んでおきたい一冊。
人生の使命を感じ取り、一途に努力を重ねた人間の強さを知るための絶好の機会でもある。


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