« 口コミ伝染病 | トップページ | 幸せなお金持ちになるんです! »

2006年7月30日 (日)

ナイト

475720935509ロバート・フィッシャー著 『ナイト―脱げなかった鎧の秘密』

「君が本当に善良で、心優しく、情けが深い騎士であるなら、なぜわざわざ証明する必要がある?」

大げさな表現かもしれないが、この言葉に出会ったとき、雷に打たれたような衝撃が走った。

そう、自分が本当に優秀であるなら、そのことを証明しようと必死になる必要はない。

王国一の勇者を目指して、来る日も来る日もいくさに明け暮れる孤高の騎士「ナイト」。
やがて彼はいくさのないときにも、その立派な鎧(よろい)を脱がなくなった。
「いつ、いくさが始まるかわからない。いつでも一番に駆けつけられるように一瞬たりとも鎧をはずさないのだ。」
それが彼の主張であり、素顔が思い出せなくなるからやめてくれと懇願する妻子へのいいわけであった。
そんな生活に嫌気がさして、家を出ようとする妻の懇願に負け、ナイトはしぶしぶ鎧を脱ごうとするが、どうしたことか鎧が脱げない。どうしても脱げない。
万策尽きたナイトは、ついに鎧を脱ぐ方法を求めて、賢者を尋ねる旅に出かける。
その旅は、「素顔の自分」「本当の自分」に出会う旅であった。

なぜ、ナイトは四六時中、鎧を身にまとうようになったのか。
それは心の中に弱さを隠し持つ本当の自分を他人に悟られないようにするための、心の鎧だったのだ。
鎧をまとっていることが勇者の証と信じ込むナイトの深層心理が、鎧を手放さなくなっていたのだ。
しかし、真の自分ではない、鎧をまとった自分の姿は、周囲にとって気持ちのよいものではなく、なにより、自分にとって居心地の悪い姿であった。

鎧が脱げなくなったナイトに、多くの現代人が自分を重ね合わせることだろう。
かくいう私も、この話が自分の物語のような錯覚を抱いた。

自分が優秀であることが事実であれば、それは証明する必要はない。
事実は事実として存在するだけだ。
もし、自分が優秀であるということを証明することに恐れを感じているならば、
それは事実ではないからだ。いや、事実でないと自分が思っているからだ。
証明する必要など何もない。自分があるがままを表現していれば、それは自然と伝わっていく。

もし、自分が優秀でないならば、そのことを認めればいいだけだ。
優秀になればいい。優秀になれる場所を探せばいい。それだけのことだ。

何も恐れることはない。ためらうことはない。

自分を表現するだけ、それが相手にどう映ろうと、それはその相手の問題。
相手が私を必要としなければ、それはそれでいい。無理に付き合う必要はない。
いや、無理に付き合ってはいけない。
偽りの関係は、後々かならず破綻をきたす。

自分が優秀であることを証明したいと焦る心の中には、優秀でない自分が露見する恐怖が潜んでいる。
そのことに気づいた瞬間に、心の鎧が溶けていく感覚を味わった。
まさに目からウロコが落ちる感覚とはこのことだ。

何気なく読み始めた本だったが、今の自分に強烈なインパクトを残す本であった。


続きを読む...










にほんブログ村 本ブログに参加しています。今日も応援ありがとうございます。

人気ブログランキングに参加してます。こちらもどうぞ

|

« 口コミ伝染病 | トップページ | 幸せなお金持ちになるんです! »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ナイト:

« 口コミ伝染病 | トップページ | 幸せなお金持ちになるんです! »