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2005年11月 5日 (土)

海のはてまで連れてって

447893052Xアレックス・シアラー著、金原瑞人訳『海のはてまで連れてって』

楽しくて、わかりやすい。そして、感動的でもある。
アレックス・シアラー、魅力満載の一冊です。

いつもどおり、子供が主人公のお話。今回の舞台は、豪華客船。

双子の兄弟"ぼく"と弟のクライヴは、お父さんと三人暮らし。豪華客船で働くお父さんと一緒に船に乗ることを夢見る二人は、「これが最後の航海になるかもしれない」というお父さんの言葉を聞き、船に忍び込むことにする。 首尾よく船に忍び込み、寝場所を確保。時には怪しまれたり、置き去りにされたり、お父さんにみつかりそうになったり、ついには海に落ちそうになったりとドキドキの経験をしながらも、二人は豪華客船での旅を楽しんでいく。 気取り屋ワトソン一家や宝石の音がじゃらじゃらするドミニクスさん、偶然にも双子と同じ苗字のコナートン船長、意地悪なスチュワードのごつごつなどなど色々なキャラクターが出てきて、船上はテンヤワンヤの大騒動に。そして、ついに二人はお父さんに見つかってしまうのだが...。

お得意のユーモアあふれる展開に、ついつい話にのめり込みます。
それにしても、金原瑞人さんの訳が絶妙です。子供会話の中に、子供ならではのジョークや駄洒落が満載なのですが、金原さんが、綺麗に日本語に置き換えています。ジョークに笑う反面、翻訳の苦労を察して、感心してしまいました。

今回の教訓ですが、大きな二つのテーマを感じ取りました。

ひとつは、「お金では買えない、大切なものがある」ということです。
このことは直接的な表現で繰り返し出てきます。おそらく今回のメインテーマでしょう。
豪華客船の中での、お金持たちの優雅な生活を描写しながら、子供の視点で、人生にとって本当に大切なものを見出していく。人生、お金がすべてではない、ということを露骨なまでに表現しています。

そして、もうひとつ。これは私ならではの視点かも知れませんが、「人のパワーを最高に高めるためには、マイナスの感情が大きく作用する」ということ。
いくつかのポイントがあります。まず、二人を密航に走らせる原動力は、「もう、お父さんと一緒に船に乗ることができなくなる」という緊迫感。二人を海賊に立ち向かわせる原動力になった「たかがガキふたりになにができる」という海賊の言葉に対する屈辱感など。危機感や劣等感が人の秘められたパワーを引き出すのに大きな影響を及ぶすことが随所で語られています。

中でも、クライヴが海に落ちそうになった時に見せた、"ぼく"の火事場の馬鹿力のシーンは圧巻です。引用します。

「どうか、どうか助けてください。クライヴを死なせないでください。どうか、どうか助けて!」
すると、だれかが助けてくれた。だれかが、どこからか力を貸してくれた。ぼくは、ありったけの力でクライヴを引っぱった。やがて、クライヴの顔が見えた。クライヴは無事にボートにもどった。ぼくのそばに。ぼくらはボートの床に大の字に横たわった。涙がでて、笑いがこみあげて、なにがどうなってるんだかわからなかった。ぼくは、なぜかクライヴの頭をぽんぽんと軽く叩いた。クライヴが本物で、ちゃんと生きてるのかを確かめたかったのかもしれない。

読んだ瞬間に、鳥肌が立ちました。絶対絶命のピンチに際したとき、"ぼく"の潜在能力が最大に引き出され、考えられない奇跡が起きる。
読みながら、第三者の救世主が現れる展開を想像していた自分としては、期待以上の展開に驚くと同時に、大きな喜びを感じていました。さすがアレックス・シアラー、並みの作家ではない。この辺の感性に私はきっと、大きく惹かれているのだと思います。

屈辱感や劣等感を、自分の内なるパワーの原動力に変えていく。

私の現在のテーマに合致した、名作に出会いました。

こんな成功法則を見出さなくても、小説として充分楽しめる質の高い作品です。ご興味のある方は、是非ご一読を。

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コメント

成功おたくさん、こんにちは。

面白そうな本ですね。BK1の書評も面白そうに書いてあって思わずカゴに入れそうになりましたが、大量の積読を先にさばかないと、いいかげん鬼嫁にしばかれ・・・
とりあえず読みたい本リストに加えました
(^^;

投稿: HIDE | 2005年11月 5日 (土) 17時18分

HIDEさん、いつも有難うございます。

実は、私も鬼嫁にしばかれるのが恐くて、図書館にあしげく通っています。この本も、図書館で借りました。
ブックオフの100円本も、ちょっと買えない雰囲気です。
同猫相憐れむですね。
お互い頑張りましょう。
とりあえず、私も積んである本をなんとかしま~す。

投稿: 成功おたく | 2005年11月 5日 (土) 18時44分

コメントありがとうございます :-)
私のようなメモ書きの感想とは違って、とても丁寧に書評されていてビックリです。
アレックス・シアラーの本って、何か良いんですよね。
また遊びに来させていただきます(^^

投稿: snoozer-05 | 2005年11月 5日 (土) 21時45分

こんばんは。この本は本当に面白いですね!設定も豪華客船っというあまり聞かないロケーションで、しかも双子の兄弟がそこへ潜入してしまう。(笑)とてもワクワクできる物語ですね♪ワトソン婦人が船長へ食事を招待してほしいというシーンは、もうハラハラドキドキという感じで。本当にアレックス・シアラーらしいいい作品に仕上がってますね!

「お金では買えない、大切なものがある」っていう部分、本当にそうですね。とてもわかりやすい言葉でストレートにメッセージを送ってますね!家族愛、兄弟愛、彼ら3人の心がとても素直で心地よい気持ちにしてくれますね!

また、負の要素を正の力に変えていく!っていうこともひとつ勉強になりました。ここの部分のレビューがとても面白かったです。人間誰しもいいことばかりじゃなくて、負のことって絶対にあるけれど、それが自分の目の前にあるとき、どうしなければならないのか、アレックスはそんなに難しいことは言っていないけれど、日本語で言う曖昧な「一生懸命がんばる」という言葉にもっと建設的なエネルギーを入れたような。そんなメッセージがあったのかもしれませんね!

投稿: けいち | 2005年11月 5日 (土) 21時57分

snoozer-05さん、はじめまして。
コメントありがとうございます。

お褒めいただき恐縮です。
アレックス・シアラーの作品は、楽しいだけで終わらせたらもったいない気がしています。
人を感動させることの前提として、人生の教訓がちりばめられています。それがさりげないのが、素晴らしいと思います。
楽しみながら、人生を学ぶ。
理想的ですね。

また、お待ちしてます。

投稿: 成功おたく | 2005年11月 6日 (日) 09時19分

けいちさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。

確かに、ハラハラドキドキ感がたまらない作品ですね。
ちょっと臭いセリフや、少し無理のある設定も、子供のことだからという感じで、すべて許せてしまうのがいいですね。
「夢がある」の一言ですね。
アレックス・シアラーにはまりそうです。

それでは、また遊びに来てください。

投稿: 成功おたく | 2005年11月 6日 (日) 09時23分

トラックバックをありがとうございました。
シアラーの作品は、ストーリーのおもしろさと、メッセージ性を兼ね備えていて、読者としてだけでなく、書き手としても刺激をうけます。
もっとも、当方は売れてない童話作家ですが。

投稿: NOCO | 2005年11月 6日 (日) 12時04分

こんにちは。トラックバックありがとうございました。アレックス・シアラーの物語にはいつも惹きつけられます。シアラーの物語は子供達とまわりのオトナたちの関係、子供同士の関係がそれぞれ良くて、読み手の自分が子供サイドで共感したり、大人サイドの視点でふむふむ頷いたり、と、読むのに世代を選ばない作家さんだなと思います。
やはり「人生における大切なものがある」事を伝えてくれるお話はステキですね。

投稿: すなみ | 2005年11月 6日 (日) 19時33分

はじめまして、TBありがとうございました。
シアラー氏の本、いつも面白い!だけで読み飛ばしてしまっていましたが、これからはじっくり読んでみようかと思います。

投稿: PNU | 2005年11月 7日 (月) 07時25分

NOCOさん、はじめまして。
コメント&トラバ、ありがとうございます。

童話作家ですか、夢を語る人ですね。
夢を人に語り、希望と勇気を与える、理想的な生き方ですね。
誰でもできる仕事ではないですので、自分が神に選ばれた存在であることを意識して、これからも頑張ってください。
私も、人に希望を与えることを志して頑張ります。

今後ともよろしくお願いします。

投稿: 成功おたく | 2005年11月 7日 (月) 08時13分

すなみさん、はじめまして。
コメントありがとうございます。

シアラーの本は、読み終わっても、次が読みたくなる不思議な魅力がありますね。
あの独特の雰囲気がいいんですかね。
自分が少年に戻っていくようなあの感覚。素直になれる瞬間が魅力ですかね。

それでは、また遊びに来てください。

投稿: 成功おたく | 2005年11月 7日 (月) 08時15分

PNUさん、はじめまして。
コメントありがとうございます。

シアラーは、面白さの中にきちんとテーマを決めて、主張を盛り込んでいます。
子供に大人の世界を語らせ、言いにくいこともストレートに表現している、独特のスタイルを確立したのだと思います。
私は、話を楽しむ反面、主張を読み解くのを楽しみにしています。
そんな、読み方もひとつのあり方だと思っています。

また、遊びに来てください。それでは。

投稿: 成功おたく | 2005年11月 7日 (月) 08時19分

はじめまして。
コメントありがとうございました。
うっかり者なので、ネタバレ予防のためにいつも中途半端なメモ程度で読後感想を残しています。
今回も成功おたくさんの感想を拝見して、登場人物の名前を思い出しました...

アレックス・シアラーは、子どもも大人も引き込むストーリーテラーですが、それぞれの作品にしっかりとしたメッセージを込める方ですよね。一番最近読んだのは「チョコレート・アンダーグラウンド」でしたが、ドキっとする話でした。

またいらしてくださいね。

投稿: mik_2004 | 2005年11月 8日 (火) 10時16分

mik 2004さん、はじめまして。
コメント有難うございます。

『チョコ・アン』も楽しい小説でしたね。
風刺が利いているドキッとするジョークが良いですよね。
アレックス・シアラーの世界には、惹かれますね。

また、ご意見ください。お待ちしてます。

投稿: 成功おたく | 2005年11月 8日 (火) 20時43分

こんにちは。トラックバックをありがとうございました。

皆さんのコメント等を拝読すると、アレックス・シアラーは人気作家のようですねー。私は本書しか読んだことがないので、成功おたくさんはじめ皆さんのコメント、参考になります。

私は、場面転換のうまさと、配役のうまさが印象的でした。子どもの子ども的な発想も、良いですね。ただ、子どもの言葉で分別くさい結論を出すのはどうかなぁ、と思うところもありました。説明しないほうがいい、ということもありますよね。


投稿: とみきち | 2005年11月20日 (日) 14時27分

とみきちさん、はじめまして。
コメント有難うございます。

アレックス・シアラーは人気作家ですね。
特に女性に人気があるようです。
ほのぼのとした雰囲気の中に、しっかりとした視点があるからでしょうかね。
しかし、読んでいて楽しい!というのが人気の一番の理由のような気がします。

また、他の本も読んでみてください。

それでは、また遊びにきてください。

投稿: 成功おたく | 2005年11月23日 (水) 07時00分

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