いつも楽に生きている人の考え方
「楽して生きる」ということと「楽な気持ちで生きる」ということは基本的に違う、ということがよく分かります。
タイトルとは裏腹に、非常に冷静な厳しい内容の本です。「楽して儲ける」系の内容をイメージして読み始めた方は、のっけから「自分のことに責任を持つ」という先制パンチを浴びてしまうでしょう。
目次を紹介します。
第1章 自分のことに責任を持つ
第2章 「ねばならない」から自由になる
第3章 現実を受け入れる
第4章 忍耐強さを身につける
第5章 自分自身を大切にする
第6章 嫌な気持ちもあえて味わう
第7章 批判的、創造的に考える
第8章 夢中になれることを見つけて追求する
第9章 人間関係を充実させる
第10章 この本を活用するために
目次を読むだけ、だいたいどんな本だか想像ができると思います。
そうです。「自分イジメをやめましょう」という内容です。
「自分に責任を持つ」という心構えを、好ましくない状況はすべて自分の責任だという自己に対するプレッシャーに発展させるのではなく、「何とかできる、改善できる」という考え方に昇華することを推進する内容です。
この著者の主張は、好ましくない状況でもすべて肯定的にとらえる非現実的なポジティブ思考を推進するのではなく、好ましくない状況を自分の望んだ結果ではないと思うネガティブな感情を認めているところが印象的です。
つまり、望ましくない状況や結果に遭遇したときに、無理に「これでいいんだ」と思い込むのではなく、残念がったり、がっかりしてもいいですよ、と言っているのです。
ただし、否定的な感情も二種類あって、「それでも、何とかできる」と思う健全な否定的感情と「我慢できない、もう耐えられない」と思う不健全な否定的感情があるということです。もちろん、著者は健全な否定的感情を持ちなさいと言っているわけですね。
この辺が、セラピストらしい論理展開だと思います。成功哲学にありがちな「何が何でもポジティブ思考」よりも、納得できます。
世の中、まじめな人が多くて、特に自己啓発書などを日常的に読む人たちというのは、自分の周囲で起こることをすべて自分の責任だと思い込んでしまうようです。それが行き過ぎると自分イジメに発展し、自己否定が激しくなります。自分にプレッシャーをかけすぎて、人生に悲愴感が出ます。(これが「鬱」ですね。)
「自分に責任を持つ」ということは、「すべての原因は自分にある」という考え方よりも、「自分で変えられることは、自分で変える」という思考に発展させることが大切だと思います。
それがすなわち「楽に生きる」ポイントなんですね。(決して、すべての責任を放棄するというお気楽な生き方を言っているわけではありません。)
現在がどんな状況でも、どんなに好ましくない環境でも、「自分には変えられる」と思えたときには、即、パラダイスにいる気分になれる、ということを気づかせてくれる実践的な本だと思います。
人生に悲愴感がある人には、お奨めです。是非、ご一読を。(今の私に、ぴったりの本でした...。)
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